先日、「省エネとリフォーム」という4時間の講習会に行って来ました。
前半は、今注目の「住宅版エコポイント」の話が中心に講義があり、後半は、高齢者を対象にリフォーム会社を経営している社長(女性)の講義がありました。
前半のリフォームエコポイントの話しは、以前から何回も聞く機会があり、退屈で時折居眠りもしていましたが、後半の講義では、興味深い話が2つ程聞くことが出来たので、ご紹介したいと思います。
その内容の1つ目は、「人は年を取り、今住んでいる家に一人で住めなくなり、介護が必要になると、老人ホームや老人介護施設に入ればいい」と考えていますが(私もそう思っていましたが)、最近では、国からの補助金がカットされ大規模な老人介護施設等は激減して建設されず、小規模な施設のみの建設に留まっているのが現状です。その施設に入居出来る人は、限られて、入れても要介護認定を受けた、要介護4.又は5の寝たきりの人のみで、後の方は今住んでいる家で死ぬまで過ごすことになるそうです。
この話を聞いて、住まいの重要性、造り手としての責任の重さを改めて感じました。
2つ目は、講師の会社での話しでしたが、「高齢者の方が一人でトイレに行けるようにと、廊下に手すりを取り付ける工事を依頼されて、取り付けした時の話ですが、工事が完了して、手すりが綺麗に立派に取り付けられた写真を、自慢げにスタッフから見せられ報告を受けた時に、この工事の「本質」、本当の目的は何か、それは手すりを綺麗に付ける事ではなく、高齢者の方がトイレに一人で行けるようにする事ではないでしょうか。」と聞いて、少し耳が痛くなりました。
今回のケースでも我々、建築業者は、時折本来の目的を忘れ「手すりを納まり良く綺麗に取り付ける事」だけに専念することが多々あると思います、決して綺麗に取り付けることが悪いことではありませんが、その為に過剰な費用が掛かって依頼者の負担になっては、本来の目的を果せません、気をつけて行きたいと思います。
リフォームに限らず、新築の家では、外観や内装など目に見える意匠を綺麗に仕上げるのは当然の事ですが、本来、住まいの本質とは、そこに住む人が死ぬまで安全に快適に暮らせる事が、これからは求められていると思います。
その為には、長年住めるように構造が丈夫であり、室内の温度差の無い温熱環境、転倒等の危険性の少ない内装材、介護し易い廊下幅や部屋の広さ等を設計の段階から気を配り、少しでも提案出来ればと思います。
最後に講師が「取り付けされた手すりを握り、ありがとうと涙を流すおばあちゃんの顔を見ると、この仕事に生きがいを感じます。」言っておられました。
私も同感です、お客様の笑顔に会えた時が一番生きがいを感じます。
その様な仕事をこれからも続けて行きたいと思います。
工務店が建てる外断熱「共和の家」
設計 坂井田環作