先週の木曜日、20年位前に弊社で建築させていただいたお客様から突然電話をいただきました。
その内容は、「耐震診断を受けたら、地震時に倒壊する恐れがあり、心配で夜も眠れないので一度来て欲しい。」とそれは衝撃的なものでした。
早速、翌日伺う旨を伝え、私も「弊社が造った建物にかぎってそんな倒壊するような事は無いと」思いながらも心配になったので、書庫の中から古い原図を探し検討に入りました。
検討の結果、今弊社が手掛けている外断熱の家の耐震性の高いベタ基礎とは違い、布基礎の土塗り壁の建物ですが、管柱もオール120角、通し柱は135角と今の標準以上の骨太で、壁量の計算は建築基準法の約1.3倍近く筋違いを配置していました。また耐力壁のバランスチェックでも壁量充足率の計算を満たしていましたので、何を根拠に倒壊すると言われるのかが不思議でした。
翌日ご夫婦にお会いしましたが、だいぶ心労でやつれた感じでした。
詳しく内容を伺うと「新聞の折込チラシで耐震診断を受付しますと載っていたので、NPO法人の方だから信用できると思ってお願いした。」と言うことでした。耐震診断書を見せていただきましたが、計算書と弊社の施工があたかも悪いと言いたいような欠陥部分ばかり集めた写真が多数載っていました。
その診断書によると、北側に4mm建物が倒れているので、今度震度4以上の地震が来た時、倒壊する危険があるので補強工事が必要との事だそうです。
「その耐震補強工事の内容は」と奥様に尋ねると、「家の廻りに鉄筋入りの犬走りを打設する事、小屋束の補強、建具の調整等で費用が300万程掛かるそうよ」と言われました。私は咄嗟に「それって詐欺じゃないですか?」と言いました。
犬走りに鉄筋を入れる工事が耐震補強工事になるとは考え難い、また約20年を迎える軒高6400mmの建物が4mm傾いた位(1/1600)は許容範囲では無いかと考えると老人夫婦の不安を煽る「耐震補強詐欺事件」とは言えないでしょうか?
ご夫婦に色々と説明すると、少し納得され安心した様子で表情も明るくなった気がしました。それでも心配と言うことで、居間の引き込み戸の部分を耐力壁にすることにしました。
NPO法人は非営利目的の正直な方々の団体と私も信じてはいますが、中には安心や信用できぬ詐欺紛い業者もいることを頭の片隅に少し置いて皆様も騙されないように十分注意していただきたいと思います。
工務店が造る外断熱・「共和の家」
(設計 坂井田環作)